<原料探訪シリーズ>その3:本みりん②

工場入口に、何やら大きい蛸壺のような茶色い甕(かめ)の焼き物がたくさん。
「昔、みりんの輸送や販売に使っていた、一斗甕(18L)です。これにみりんを入れると、甕の重さと合わせて約40kgにもなります。」
「江戸時代には馬の背に、片方は甕に入ったみりん、もう片方には焼酎の甕を振り分けて、お客の好みに応じてブレンドして売り歩いたんです。江戸時代は米でできた甘いお酒として飲まれていました。」
「江戸時代に急速にみりんはひろまっていきました。そば屋、うなぎ屋といった屋台や店が広がって、高価な砂糖の代わりに甘味としてみりんを使ったのです。ちなみに、昔お正月に飲んだお屠蘇はみりんに生薬を漬け込んだものです」
「昭和30年代、大卒初任給が3万円の時代にみりんは一升(1.8L)2千円もしたそうです。」
今なら1万5千円くらいの幻の大吟醸酒か、高めのワインって感じでしょうか。
米を蒸している大釜ではちょうど蒸しあがったところ。ほっかほかの湯気が立ち上り、甘い香りが漂います。
「あ~、胡麻塩かけて食べたらおいしそうだな~」
名古屋でお昼を済ませたのに、おなかがグーッと鳴りました。
焼酎と混ぜ合わさった諸味(もろみ)は「恩光蔵(おんこうぐら)」と名付けられた発酵タンクが並ぶ部屋へ運ばれます。
「ここには1本約5000Lのタンクが50本あります。ここで温度管理などはせず、約2か月間発酵させます」
昔の醸造業ではおなじみの風景です。この後、発酵が終わるとしばらくの間、ゆっくりと静置され最後に昔ながらの圧搾機械で搾られます。
「お醤油も搾ると、最後に醤油粕ってできますよね。みりんも同じで粕がでます。これは愛知県の有名な守口漬の材料として使われています」

なるほど、日本酒の酒粕を使う「奈良漬」と同じですね。
あ~、今度は無性に奈良漬が食べたくなってきました。
(次回に続く)