<原料探訪シリーズ>その4:赤酢のこと②

最初に製造工程のビデオを見せていただきました。
通常の「お酢」の製造はまず、米で日本酒を造り、それから酢酸(さくさん)発酵を経て米酢として出来上がります。果実なども果汁を搾って果実酒を作り、同じく酢酸発酵を経て、果実酒になります。りんご酢やぶどう酢、最近はイチゴ酢など「飲むお酢」として皆さんご存知ですよね。ワインもバルサミコ酢やワインビネガーになります。

さて、本題の「赤酢」です。寿司店では職人さんが数種の酢や塩などをブレンドして酢飯(シャリ)をつくっています。ちょっと茶色っぽいシャリを見かける店がありますが、これが赤酢を使っている証です。名前は「赤酢」ですが見た目はむしろ漆黒に近い色で普通のお酢とは風味がまったく異なります。これは原料と製造方法に起因しています。ちなみに横井醸造様での赤酢の商品名は「與兵衛」(よへえ)。これは江戸時代の握り寿司の元祖である華屋與兵衛(はなやよへえ)からきているそうです。
榎本次長に工場案内をしていただきました。最初に工場の最上階にある仕込みタンクからです。液体物の工場では「上から下への製造ライン」が効率が良いのですね。

赤酢の原料は「酒粕」だけです。そう、日本酒を搾ったあとに残る、あの酒粕です。一般的には奈良漬や魚介の粕漬け、甘酒などに使われますよね。この酒粕を大きなタンクにどんどん詰めていき、室温で4年~6年ほど熟成させます。すると白かった酒粕はメイラード反応(糖とアミノ酸の反応による褐変現象)で、真っ黒になります。もちろん、酒粕ですからアルコールはたっぷり残っています。これに水を加えて絞り、分離した液体に酢酸菌を加えて発酵させます。そして最後に調製・濾過・殺菌すると「赤酢」のできあがりです。ちなみに原料の酒粕は国産米を使用した純米酒に限定しているそうです。

仕込んだばかりのタンクをのぞいてみると、「うーん・・・!!!」。とてもフルーティで良い香りが漂います。お酒の弱い人は多分、ここで酔ってしまうでしょう。私も気持ちが良くなってきました(笑。その後、今度は熟成させた貯蔵タンクです。濃厚なカラメルっぽい、少し甘い?表現が上手くできませんが、いかにも「熟成してます~」という良い香りです。
そうです。ここが「赤酢」のキモなのです。酒粕に何も加えず、何も除かず。ただただ熟成させ、そして発酵させるだけ。その時間が馥郁とした「赤酢」を生み出しているのですね。その後、階下に移り、発酵工程から圧搾工程など一連のラインを拝見させていただきました。

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